どのような事業でも、新規顧客が集まらなければ存続できません。
ネット全盛の現在では、多くの事業者はウェブ広告から新規顧客を獲得しています。起業後に事業を軌道に乗せるためには、起業前からウェブ広告の正しい知識を身につけることが重要です。
この記事では、ウェブ広告の重要性を解説し、起業前から準備すべきポイントを解説します。
ウェブ広告は起業後のスタートダッシュに重要
ウェブ広告は、顧客を引き付け、製品について知らせ、顧客の信頼を築くのに役立つ強力なツールです。
ほとんどの事業者は、製品やサービスを宣伝するために、何らかのウェブ広告を利用しています。
ウェブ広告とは何か、どうしてウェブ広告が重要なのかを理解することは、起業後の事業を軌道に乗せるために重要です。
では具体的に、どのようにウェブ広告を進めればよいのか解説しましょう。
目標を決める
ウェブ広告の運用には、ビジネスの目標を決めることが最も重要です。
目標を明確にすることで、効果的なウェブ広告と具体的な施策が変わってきます。目標は明確であればあるほどよいのです。
そのために、便利な「SMARTの法則」を取り入れましょう。
SMARTの法則とは、5つの基準に従って目標を設定する手法です。
具体的な目標を簡単に設定できることから、現在でもさまざまな場面で利用されています。
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Assignable(誰がやるのか割り当て可能)
- Realistic(現実的)
- Time-related(期限が明確)
例えば、Web制作会社を起業するとします。この場合のSMARTは、次のようになります。
Specific(具体的)
ウェブ広告を利用して新規顧客を獲得する
Measurable(測定可能)
1ヶ月10件以上を目標にする
Assignable(誰がやるのか割り当て可能)
経営責任者が全て作業する
Realistic(現実的)
予算は月10万円以内とする
Time-related(期限が明確)
起業後1ヶ月以内の準備期間で、ウェブ広告の態勢を整える
もちろん、それぞれの項目は事業形態や規模、タイミングによって変わります。
まずは、SMARTの法則でウェブ広告の目的を明確にしましょう。
受動的な広告と能動的な広告の違いを知る
多くの事業者が、受動的広告と能動的広告の違いを知らずに、ウェブ広告を実践しています。両者の違いが分からなければ、間違ったプラットフォームに投資し、お金と時間がムダになります。
受動的広告とは、主にFacebookやInstagram、Twitterの利用者が対象の広告です。彼らは、問題解決の方法を積極的に探しているわけではありません。ただ単に、SNSを楽しんでいるのです。このような人たちに対する広告を受動的広告といいます。
受動的広告には、主にSNS広告やSNS内でのマーケティングが有効です。
能動的広告とは、インターネット上で積極的に問題解決方法を探しているユーザーを対象にした広告です。例えば、いますぐ引っ越したい、近所のおいしいラーメン店を探している、プログラミングの勉強をしたいなどを対象に、広告を発信することです。
能動的広告には、キーワード広告、地図広告、アフィリエイト広告などが有効です。
あなたの提供するサービスが、顧客の課題解決や欲求にダイレクトにつながる(検索して調べられる)ならば能動的広告を、そうではないサービス、あるいはブランディングや認知度向上を目的とするならば受動的広告を検討しましょう。
プラットフォームの特性を知る
ウェブ広告を実行するために適切なプラットフォームを知ることは、お金を節約し、結果を最大化するのに役立ちます。
しかしウェブ広告にはさまざまあり、どれが効果的か迷うこともあるでしょう。
ここでは、それぞれのプラットフォームの特徴を解説します。
(2022年8月26日発表の「2021年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」に基づいて作成。)
Facebookの主な利用者は、高所得の成人ユーザーです。女性が50%以上を占めているのも特徴です。Facebook利用者は、主にスマホから使用しています。
Instagramは、高学歴の若いユーザーが中心のSNSです。女性ユーザーが50%以上を占めています。
LinkedInは、X世代とミレニアル世代(40歳前後から60歳代前半)のユーザーが中心です。50%以上が男性の利用者という特徴があります。
Twitterは、購買力の高いX世代とミレニアル世代が中心です。男女比は均等です。
Tiktokは、ユーザーの約53%が男性、47%が女性です。約50%が34歳以下で構成されています。
YouTubeは、15~35歳のユーザーに人気があります。男性より女性の方が多いのも特徴です。
Google検索は、年齢、性別、単身者、家族、世帯年収など、幅広い層が利用しています。
あなたのサービスのターゲットを定め、適したプラットフォームを利用し、効果的な広告・マーケティング戦略を構築しましょう。
小さく始める
起業後に事業を短期間で軌道に乗せようと焦るため、初めから多額の広告費用を投じて失敗する起業家がいます。広告は、出稿した後でデータを分析しなければ、実際の効果は分かりません。
広告効果を最大化するには、まず小さく始めることが重要です。まずは少額でウェブ広告に出稿し、データを集めることに専念しましょう。
あなたが思い描いていたところとは全く違う場所で、あなたの広告効果を発揮するケースもあります。
例えば、Google広告が効果的だと思っていたけれど、実際はTwitterフォロワーからの集客が最も効率がよかった、などです。
闇雲にウェブ広告を発信し、お金と時間をムダにしないためにも、「小さく始める」ことを忘れないようにしましょう。
広告効果の測定方法を知る
ウェブ広告の特徴は、「簡単に効果測定できる」ことです。紙のチラシやポスティングとは違い、クリック率、クリック単価、成約率など、詳しいデータの収集と分析が可能になります。
ここでは、具体的にどのように分析できるのか、その指標などを解説します。
クリック単価(CPC)
広告が1回クリックされたときに発生する費用のことです。
CPCが低ければ、より少ない予算でより多くの顧客を誘導できます。
クリックスルー率(CTR)
広告が表示された回数のうち、実際にクリックされた回数の割合のことです。CTRは「クリック数÷広告表示回数×100」で算出され、ユーザーが広告に興味を持ったかどうかを示す指標として使われます。
コンバージョン率
Webサイトを訪問したユーザーや広告をクリックしたユーザーのうち、何人が成約したかを示す数値です。
広告費用対効果(ROAS)
広告宣伝費に対してどれだけのリターンがあったかを示す指標です。広告費に対するリターンは、主に1円の広告費に対してどれだけの売上があったかを数値化することで算出されます。
品質スコア
他の広告主と比較し、広告のおおよその品質をスコアで表示する診断ツールです。品質スコアが高いということは、そのキーワードで検索したユーザーにとって、他の広告主よりも広告やランディングページの関連性や有用性が高いということです。
このような広告効果の測定方法を知ることは、マーケティング戦略に不可欠です。起業前に、基本的な測定方法を覚えておきましょう。
広告のA/Bテストとは?
ウェブ広告を最大化するためには、A/Bテストが重要です。
A/Bテストとは、バナーや広告テキスト、Webサイトなどを最適化するために行われるテストの一種です。
異なるAパターンとBパターンの広告を作り、どちらがクリックされやすいか、成約につながりやすいかをテストします。より効果の高いパターンを見つけることで、コンバージョン率などの広告成果が向上し、広告を最適化できます。
ウェブ広告に代表されるデジタル広告が普及する前は、A/Bテストはとても手間のかかる作業でした。
しかしウェブ広告ではA/Bテストが容易に実施できるため、起業後は積極的に取り入れてウェブ広告を最適化しましょう。
長期的な思考を持つ
起業直後は、短期的な視点になりやすいため注意が必要です。
ウェブ広告を実施すると、何日も続けて赤字になることもあります。思うような結果が得られず、「一気に挽回しよう」と考えて、無謀なウェブ広告を実践してしまいがちです。
ウェブ広告を長期的な視点で見ることで、このようなミスを減らし、長期的に安定したウェブ広告を実践できます。
まず、ユーザーの目線に立ってみましょう。多くのユーザーは、広告を見たからといってすぐにサービスに申し込んだり、商品を購入するわけではありません。
広告をクリックしたユーザーが商品を購入するのは、1週間後かも知れません。数カ月後になるかも知れません。ほとんどの場合、広告の効果は長期的なものです。
広告のパフォーマンスを日々の結果で判断するのではなく、長期的に考えることをお勧めします。
まとめ
ウェブ広告を運用するのは簡単ではありません。しかし、ここで紹介したポイントを起業前に知ることで、起業後の広告運用が効率的になります。
あなたの将来のために、起業前からウェブ広告の重要ポイントについて準備しましょう。
「いますぐ起業するわけではない」という場合は、まずTwitterやFacebookなどを気楽に始めてみることをお勧めします。